愛知万博の環境アセスメントの総括報告
                            2006 12. 08  島津康男
  
  11月28日に、万博協会は「愛・地球博 環境アセスメントの歩みと成果」(198ページ+資料編57ページ)を公開した。
 全文をhttp://www.expo2005.or.jp/に掲載している。タイトルの通り、この事業に関する環境アセスメントの自己評価である。環境影響評価法の先取り実験の形でスタートしたが、会場の二転三転に伴って方法書や評価書が2回出たり、その後も追跡調査(予測・評価)報告書という不可思議な手続きをしたりして、本来ならば大幅な計画変更に伴うアセスメントの再実施が必要なのを修正の積み重ねで切り抜けて「後追いアセスメント」とよばれたり、さらに珍しく万博終了に伴う「撤去のアセスメント」を実施した経緯とその技術的内容を自己総括したものである。

第1章 概要 
第2章 幅広い意見聴取の実施(有名な検討会議については半ページ)
第3章 新しい環境影響評価項目の選定と調査・予測手法(何を目玉にしているかがわかる)
第4章 環境保全措置の検討と総合評価(事業者が目玉と考えている、二転三転した計画の時系列的複数案比較を重視)
第5章 追跡調査(前に述べた予測評価と本来のモニタリングの双方)
第6章 環境影響評価の成果活用と住民参加(実は環境教育などが主)
第7章 長期的地域整備事業との連携(もともと住宅団地の建設計画が先にあり、その造成地を博覧会として一時借用する計画であったことから、それに関連する道路整備を含めて統一的なアセスメントを行う予定であったことを自画自賛している。しかし、この目標は初期で消えてしまった。現実には、アクセス鉄道(リニアモーターカー)は統一アセスの対象とならず、しかもこの鉄道は実現し、万博終了後は赤字に苦しんでいるが、このことには触れていない)
第8章 本報告書の結びにかえて
資料編 本アセスメントのもとになった通産省実施要領(方法書に相当)、専門家会議等の名簿、受託コンサルタント名と担当分野を記載している。実施要領に再実施の条件が書いてないことに注意。又、本報告書には書いてないが、環境アセスメントの経費は総事業費の2.3%だそうである。再調査・追跡調査・評価書の二度出しなどに伴う経費明細が知りたいところである。

 万博のアセスメントについては、既に各所でシンポ(例えば、環境アセスメント学会の「愛知万博の環境アセスメント」(環境アセスメント学会誌 4巻1号(2006)やいくつもの出版物があるし、筆者の「万博アセスを評価する − 法アセスモデルと万博アセスモデル」(2004)もある。本報告書は、公的な総括として意味があり、事業者がこのような総括をすること自体が珍しいが、自画自賛の本報告書と第三者の分析との比較が必要であろう。

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