普天間飛行場代替施設のアセス方法書(第二回)への答申について
                             
島津康男

 今回の方法書については、既に「アセス情報」において、8.10,8.29の2回にわたって紹介したところであるが、12月14日の審査会の答申公表にあたり、改めて紹介する。
  結論 「アセス実施の計画書であるべき方法書として適格とはいえない」との趣旨の審査会意見に賛同する。
 具体的には、
(1) 計画の内容に不確定性が多すぎる
 飛行経路は平成16年の第一回方法書の時より明確になったが、機種(特にオスプレイの有無)・飛行回数の記載がなく、これでは、最も重要な評価項目である騒音の予測計画のたてようがない。施設についても第一回と同じく不明確で、大きな影響が予想される弾薬庫・燃料庫の位置・規模が記載されておらず、排水量・排水口の位置もない。特に、必要土量の90%は購入資材なのに、土取り場・搬入ルートの記載がなく、これは当然ながらアセスの対象である。平成17年の「環境影響評価の基本的事項の改正」(環境省)では、計画内容に不確定がある場合の措置(複数案の提示など)が示されているが、その対応がされていない。

(2) 調査項目・予測手法にメリハリがなく、その一方既に手荒な事前調査をしている
 ジュゴン・珊瑚礁をはじめ特徴のある自然環境なのに、通り一遍の記載しかない。これについても、前記の「基本的事項の改正」で、技術指針を「基準条件」から「参考条件」と改め、技術指針にこだわらず、地域の特性に応じたメリハリを求めているが、第一回と変わりがないのは、重大な欠陥である。

 さらに、第一回の方法書段階では珊瑚礁の事前調査が問題になったが、今回はジュゴン調査のためのソナーの設置といった事前調査が行なわれており、しかも荒っぽいやり方で、アセスとしては違法といわざるをえない。もちろん、調査に長時間を要する項目については事前調査を完全に否定するものではないが、その場合でも調査方法を事前に公開し、実施の進行状況をも公開すべきである。
 事業者はアセスを形骸化している 審査会から事業者への質問は9ページに渡る詳細なもので、上記の(1)、(2)に触れたものをすべて含み、常識があれば当然出てくる疑問であるが、事業者からの回答は真面目なものといえず、すべて自己の正当化か準備書段階への先送りで、事業者自身がアセスを形骸化しているといわざるをえない。
 さらに、基本的事項の改正を考慮せず、平成16年の第一回方法書と全く同じ体裁で、第一回の方法書にどういうわけか無意味に記載されていた泡瀬干潟のページがなくなっただけで、後は同じ内容の感じのものなのは残念である。極言すれば、現時点で方法書を出す意味は余りなく、アセス形骸化の過ちを二度も繰り返している。
なお、審査会いおける桜井国俊氏の陳述意見は、アセスの本質を突き、メリハリのあるアセスの内容を適確に指摘したものである。
 審査会答申の内容について 審査会は「準備書を作成するまでに修正し、公表すること」を求めているが、一歩進めて「撤回した上で、再提出を求める」とするのが妥当ではないか。方法書の受け取り留保という前代未聞の事態まで行なった事案であれば、撤回を求めてもおかしくはない。
 また、第一回の方法書では、「アセスをするに足る内容でない」との審査委員の意見が、知事意見で消えたといわれているが、知事が審査会の答申をつまみ食いするのを防ぐため、審査会が知事とは別に記者発表をする自治体もあることを付け加えたい。
 知事は一旦方法書の受け取りを留保するなど、異例な手続きになったが、そこでは「計画が未確定」が理由になっているので、審査会の答申を受けて、積極的に「差し戻し」を決断すべきではないか。先送りすることによって、内容が改善される見込みは少なく、形骸化を積み重ねる危険の方が大きいからである。

 事業者・コンサルタントへの要望 このように立地場所が迷走する計画では、2年後に施行される予定の「環境影響評価法改正」の目玉とされている、立地選定段階の「戦略的環境アセスメント」を先行実施する位の熱意が防衛施設局にあってしかるべきであろう。そこでは、ゼロ案(事業をしない場合)を含む複数の代替案についての相対評価が求められる。自治体のレベルでは、埼玉県・東京都など既に先行実施している事例がいくつもある。改正環境影響評価法の施行前に、本案件の駆け込みアセスをはかっているとすれば、許しがたい。
 環境アセスメント学会の一員としてあえて付け加えれば、このような方法書を作成したコンサルタントにも遺憾の意を表したい。このような方法書は、決して現在のレベルとして一般的なものではなく、良心的なものは多く存在する。