アセス情報  島津康男

     
普天間飛行場代替施設アセス方法書に対する
          追加・修正資料が出た(2/5)

                      

  2月5日に、事業者である沖縄防衛局が表記の文書を公表した。
 384ページと方法書本体と同じ位の分量があり、記載の体裁も本体と同じである。
 このアセスについては、2回目の方法書(19年8月の沿岸案)に対する20年1月14日の審査会答申及び21日の知事意見についてそれぞれアセス情報で報告したばかりであり、私自身うんざりしている位だが、正当なアセス手続きの観点から見逃せない事業者の行動であるとともに、今回の追加・修正の内容が重大なので、あえて報告する。
 一口でいうと、「計画が不確定でアセスをする時期にない」との審査会の意見があろうと、次々に方法書の追加・修正を繰り返して手続きだけは進めるとの、小出し・先送りの姿勢の象徴である。

 今回の追加・修正資料は、「対象事業の内容」と「環境影響評価の項目並びに調査・予測及び評価の手法」の二部からなり、もとの方法書(19年8月)の書き直しの形をとっているが、「対象事業の内容」は大きく変更されており、「アセスの手法」にも、騒音について次のように大きな変更がある。
 既に騒音の予測を行っている 事業の内容については、飛行場のアセスで一番大事な基本情報である滑走路の配置・規模、想定機種と離着陸回数及び飛行経路が初めて示されている。なぜ、これを19年8月の方法書公表時点で記載しなかったのだろうか。19年8月以後に決定したものでないことは、別添資料6として載っている「普天間飛行代替施設周辺に係る航空機騒音予測調査報告書 平成18年6月((財)防衛施設周辺整備協会)の日付を見れば明らかである。
 もちろん、「これはアセス手続きの中での予測ではない」との言い訳はあるだろうが、それならここで改めて記載する必要はない。内容としては、回転翼機(ヘリ)、固定翼機の計6機種(噂の垂直離着陸機V-トールは入ってない)、合計1日266回の標準飛行回数、二本のV字滑走路に対する合計19種の飛行パターンに対してWEPCNLのコンターまでが示してあるのを見ると、この部分では既に準備書段階に進んでいることが読み取れる。これは、次に述べるジュゴン問題とともに事前調査違反である。

 ジュゴンについては冷淡 その代わり、本アセスでのもう一つの目玉項目であるジュゴンについては、もとの方法書と内容がほとんど同じであり、既に行われていて問題になっている事前調査については全く触れていないし、準備書公表時点の目安となるであろう今後の調査期間にも触れていない。さらに、「基地建設によるジュゴンへの影響を回避すること、このため90日以内にアセもス文書を提出すること」という、米国サンフランシスコ地方裁判所の20年1月24日の判決にも触れていない。知事意見への真摯な対応が見られないことを含め、すべてが事業者の独断だけで進んでいることが明らかである。
 工事計画を示している 事業の内容のうち、もう一つの柱となる「本体・埋立土砂・作業ヤードの設置・工事用仮設道路・美謝川の付け替え」の工事計画は、20年1月21日の「事業内容の説明資料(公有水面の埋立て)」を敷衍したもので、審査会からの質問に対して「まだ未確定」と回答しながら、その後間もなく上記の説明資料を出したことを含め、なぜ今回のような資料が固まるまで方法書の公表を待たなかったのかの疑問が残る。いろいろの代替案を比較しているのは、計画の王道を踏んでいるとの誠意を示したつもりであろうが、一番大事な立地選定の代替案比較はなく、工事計画の代替案についても施工期間だけを主な評価基準にしている偏りがある。
 1700万立方メートルと想定している土砂の購入先は未定としているが、中国からの輸入の噂もある。中部空港の時も、台湾からの売り込みがあったと聞く。

 今からでも遅くはない。小出し・先送りを改め、戦略アセスからやり直すべきとの私の考えは変わっていない。特に、今回、またまた起きた破廉恥事件を機に、米軍再編問題に立ち戻るとともに、北部振興・地元建設業界の参入もアセスの評価対象とすべきと考える。
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