アセス情報
守屋武昌「普天間交渉秘録」(新潮社2010 7.10)と米軍グアム移転のEIS (7.30)
                      島津康男

  今回、表記の二つが相次いででた。前者の著者は、かの有名な元防衛省事務次官の守屋武昌さんで、1975年以来沖縄の基地問題に携わり、特に異例の長さといわれた4年間の次官在任中は普天間基地の名護市辺野古移設問題の事務方トップだった。そして、2007年に小池防衛大臣と相討ちの形で辞職させられたが、小池大臣はイージス艦機密漏えいの陳謝に渡米する時に辺野古のアセス開始を手土産にし、次官は汚職で起訴されるという騒ぎがあった。その著者が、自身の日記をもとに発言内容と行動内容を記したのがこの本である。
  これまで、普天間移設問題については、地元の建設業団体である北部地域振興協議会による「普天間飛行場代替施設問題10年史」(2008)、地元住民団体の浦島悦子さんの「辺野古 海のたたかい」(インパクト出版会 2005)、「名護の選択 ― 海にも陸にも基地はいらない」(インパクト出版会 2010)、そして渡辺豪さんによる新聞記者の目からの「アメとムチの構図 − 普天間移設の内幕(沖縄タイムス社 2008)が出ている。これらの紹介を含めて、私はこの問題を環境技術学会の「アセス情報」で取り上げてきた。この問題がまたまた迷路に落ち込んでいる今、一方の主役だった守屋さんによる本の紹介をしたいのであるが、出てくるデータは「アメとムチの構図」を詳細化したものであり、例えば「30分で決まったV字滑走路案」の内幕や「本土の大手に仕事を持っていかれないために沿岸案に固執する地元建設業界のゴリ押し」をさらに詳細に示したものとなっている。そして、これは逆に新聞記者の力量を証明しているともいえる。
  本書の副題は「引き伸ばし 二枚舌 不実なのは誰なのか?」であるが、その誰は外務省であり、沖縄県知事であり、名護市長であり、特にその奥にいる地元建設業界である。「守屋さん、沖縄では大きな仕事は20年かかるんですよ。石垣空港のときだって、年月がかかっても誰も困らなかった。今回はまだ7年です。たいしたことないじゃないですか」との稲嶺知事に私は「それなら、沖縄県民の前でそういいなさい」といった、が著者の思いを表している。私としては、著者の「制度に従ってアセスは必ずやらなくてはいけない。従って、計画を進めるためにアセスを最大限利用するのがいい。抵抗運動が強いなら自衛艦を使って調査を始めよう」や、「アセスが終わってからでいいから、沖合いへ少し動かしたら」が気になるのだが。とにかく、一読をお勧めする。
  次に、普天間移設問題と両翼をなすGUAM AND CNMI MILLITARY RELOCATIONに関する環境影響評価書が7月30日に開示された。昨年11月の準備書公表の時に表紙にOverseas EIAとあったので、それなら沖縄でのアセスも米軍自体やればいいと思ったのであるが、事実はCNMI(北マリアナ連邦)のテニアン島を対象地域に含むからである。日本の評価書と記載方法に大きな差があり、用語解説などが長いものの、5400ページに及ぶ日本の普天間基地移設準備書の厚さが笑えない。Guam EISと入力するとHPで検索できるので、私はiPadの大きな画面で読んでいる。実は、iPadの購入目的はGoogle Mapを見るためと、このEISを読むためだった。

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