アセス情報
                      原発審査を環境省で?
                             島津康男

原発審査を環境省で?
 8月3日の報道によると、経済産業省の原子力安全・保安院と内閣府の原子力安全委員会をあわせて環境省に移し、しかも(原子力安全?)庁に格上げするという。原発の推進と規制を分けるのに最良の方法という理由からである。
大気・水質の公害規制のために環境庁が新設されたのが1971年、その後時代の変遷に伴って自然保護・地球環境の部局が加わって今日に至っている。そして、このような対象別の部局を横断する形で環境アセスメント(略してアセス)が位置付けられてきたのであるが(ただし総合環境政策局の中の課のレベルとして)、そのアセスから徹底的に排除されてきたのが放射能だった。通産省(現経済産業省)と電力業界との圧力から、1997年にアセスが法律に格上げされた時も、原発のアセス対象から放射能だけは外されて火力発電所と同様な扱いになり、現在検討中のアセス法改定でも放射能は対象外となっている。

アセスの精神からの審査を だから、福島原発の震災問題を契機として、原子力安全庁(?)が環境省の中に出来るのは正に画期的なことである。問題はその人材である。先に述べた二つの組織からの移動だけだったら意味がない。広い意味でのアセスメント、つまり計画評価の専門家が参入すべきではないか。例えば、原発の評価にストレステストが必要といわれているが、これは例えば道路事業のアセスで、交通量や走行速度が計画通りでない場合でも騒音・大気汚染が基準内に収まるかを検討する「感度分析」として行われている手法の拡大版である。

参加型の徹底を 環境庁が発足した時、それは他の既存省からの移動の寄せ集めであって、生え抜きが局長・事務次官になったのは最近という状況であり、又他の現業省庁と同じように、事務職と技術職との乖離観も大きい。原子力安全庁がその轍を踏まないことを望みたい。各地の原発再稼動でのヤラセシンポが問題になっているが、その対極にあるのがアセスにおける住民参加である。環境省に持ち込む以上、原発も参加型アセスの対象にすることを望みたい。又、これまでこの方面の仕事にたずさわれなかった、いわゆるアセス・コンサル業界の奮起も望まれる。それにしても最初の仕事が廃炉のアセスとは残念だが、原発だけでなくダムなどの巨大公共施設も寿命が来ている時代なので、廃棄のアセスの象徴としての活動を望みたい。


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