中部国際空港の方法書に対する知事意見

6月1日に手続きのはじまった中部国際空港のアセス方法書に対する知事意見が11月5日に公表された。
方法書への知事意見は,調査・予測・評価の手法に対する注文として重要な意味を持つが,アセス法に対応した新しい技術指針(10年6月),道路騒音の新基準(10年9月),哺乳類及び鳥類のレッドリストの見直し(10年6月)に対応することといった一般的な指摘の他,余り明確な注文はつけていない。
強いてあげるならば,コアマモの調査要求があり,また触れ合い活動の場として野外レクリエェ−ションだけを扱うのでなく,日常生活での触れ合い活動をも扱うことを求めているのが目立つ。後者については,新しい技術指針が触れ合い活動を野外レクリエ−ションに限定していることへの批判とみられる。
本事業では対岸の常滑市の日常生活に大きな影響を与えるし,新しい空港見物場所になると予想される地区もある。なお,本事業の方法書で特に不備とみられた生態系の扱い及び環境保全措置の考え方,特に代償措置の記載法について触れてはいるが,一般的な指摘をしているだけでパンチがないのは残念である。例えば, 「上位性・典型性等の視点から注目される複数種を選定し」といいながら, 空港周辺に飛来することで選定種の候補となるカワウについては航空機との衝突を予測するようにというのみで, カワウとエサとしての魚類との関係といった具体的な指摘はしていない。本事業において, 魚類については漁業補償だけでは済まないのである。
環境保全措置として, 関西空港にならって人工漁礁つきの生態護岸を考えるとしたら, これはカワウを逆に呼び寄せることになり, その矛盾をどう解決するかが, 代償措置の目玉になると思われる。なお,わかりやすい文書にするようにとの指摘は適切であるが,例えば「実行可能な範囲で」など, その範囲をどう判断すべきかといった重要な点にれていないので,これまた明確な指摘とはいえまい。
なお,アセス法では,方法書の確定にあたって住民意見をどう取り入れたかが公表されないという欠点を持っており,知事意見はその動向を推し量る唯一のチャンスであるが,私が個人的に聞いている住民意見が反映しているはっきりした証拠はない。


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