「愛知万博」を切り離した「新住事業」評価書

− 同床異夢の結末 

〔見切り発車〕

 「万博」関連3事業、「万国博覧会」「瀬戸市南東部地区新住宅市街地開発事業(略して「新住」)「名古屋瀬戸道路」のアセスは平行して行われ、連携の名の下に方法書・準備書は同時にでてきたが、8月23日に後の2つの評価書だけが切り離されて公表となった。以上の連携は本事業群のアセスの目玉になっていたが、ここに至って同床異夢の正体が現れたといえよう。6月12日の環境影響評価法の施行にあたり、都市計画決定関連の新住アセスではこれまで不要だった審査会を設けなくてならなくなるとして、直前の11日に旧手続きに従って県環境部長がの意見を送付して駆け込み手続きを進めたことから、今回の事態は予想されてはいた。オオタカ問題で万博の会場配置に変更を迫られ、すでにかなりの会場は近くの青少年公園に移ることになり、とても評価書が作成出来る状況にないのは確かである。しかし、それが新住の見切り発車の理由になるだろうか。

〔オオタカの扱い〕

 準備書の公表後に、万博及び新住予定地の海上の森にオオタカの営巣がみつかり、その措置を巡って検討委員会が開かれている。ここでも「葵の印籠」が登場したのである。しかし、事業とオオタカの保全とが両立するかを確かめたいというのであれば、工事の凍結が前提になるのは常識である。工事の凍結を前提にしないなら、この委員会の意味は「将来同じような別の事業を行う場合の対策を考えるためのデ−タを集める」意味しかなく、評価書にあるような「検討委員会の結論を尊重して今後対処する」といった言葉だけで済むものではない。少なくも、その結論がでた後に具体的な対応を記載しなくてはならない。工事を続けながら調査を続けるのでは、前提が刻々と変わってしまい、少なくもその事業の影響を予測することは出来ないのであって、アセスの一環といえないだけでなく、アセス法にいう事後調査にも妥当なやり方ではない。根本には、検討委員会の運用のあり方の問題がある。アセスの枠の中にある以上、その結論だけでなく、議論の内容が常に公開されなけらばならないし、もっと大事なのは、「ご意見拝聴」だけでなく、「事業者はその結論に従う」という権威の確認である。建設省の委員会にはそうでないものが多いが、千葉県の三番瀬の例は参考になる。

〔本命は万博でなく新住アセス〕

 より根本には、海上の森の開発は、元来新住のためであって、万博は6ケ月だけの一部分の前借りにすぎないことがある。新住の影響は万博より広域にかつ長期に続くのであって、このことは評価書でも明らかであり、正に「大は小を兼ね、長は短を兼ねる」影響なのである。つまり、本事業群の本命は「万博」でなく「新住」である。その意味で、新住の評価書が分離された形で出たことは必ずしもおかしいことではない。本来あるべき総合アセスの姿が、連携アセスの名で共通のデ−タを使うだけにまで矮小化され、手続き的にも新住と道路では都市計画決定に伴うものが平行していたのであるから、本音に戻ったということであろう。

〔見切り発車は妥当か〕

 そうだとしても、新住の評価書の評価はオオタカ問題の扱いにつきる。オオタカの舞う万博は理屈の上ではありえても、高層建築物が並び6000人の住む団地にオオタカが舞うはずはなく、海上の森の北部分を万博や道路から外すだけで新住は別ということにはならない。第一、万博には2005年という期限がついているが新住にその制約はないのだから、急いで見切り発車する必然性はないではないか。ましてオオタカを万博に押しつけ、新住の見切り発車のための隠れ蓑にすることは許されない。


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