アセス法の技術指針

 環境庁の主導による下記の技術指針が出た。  いずれも先ずアセス法の概要を示した上で項目ごとに技術手法を記載しているが、生物多様性、自然との触れ合いについては、スコーピングの進め方を中心とし、調査、予測、評価は次年度に回している。暫定版、中間報告書といった形をとっているが、これは公的発表でないことを表す官庁特有の用法であり、内容は確定済みとみてよい。

 公害項目マニュアルは、新しい騒音基準に基づくなどの改定はあるものの、これまでと大きく変わった所はなく、負荷原単位などの資料も特に新しいものではない。アセス法の目玉であるスクリーニング、スコーピングに触れておらず、環境保全措置についてもこれまでの環境保全対策が主になっている。急いで発表する必要があったという事情もあるが、通しページになっていないなど、編集の未熟も気になる所である。

   アセス法で新しく取り入れられたせいもあって、自然項目マニュアルは公害項目マニュアルと感じが違っている。生態系については、上位性、典型性、特殊性の種の摘出がスコーピングの中心であるが、その前提になるのは生物調査であり、その後で生態系の構造が浮かび上がる。そして、生態系のを予測・評価には、食物連鎖関係の構造及びその機能のモデル化が推奨されている。構造モデルはいわば定性レベルであり、機能モデルはその定量化といえよう。その一方、安易なモデルシミュレーションを戒めているが、これは他の所で巧く行ったモデルパラメータをそのまま使うのを戒めているのであり、その地域固有のデータを着実に求めなくてはならない。このマニュアルで不満なのは、生態系の広がり又は空間的構造を重視していない点である。これがはっきりしないと、ミティゲーションにつながらないからである。さらに、生態系のアセス技術者は数少ないから、植物・動物の専門家の共同プロジェトになるが、コーディネータとしての技術者のあり方について記載していただけると有り難い。私は、これはシステム・エコロジー技術者の仕事と考える。

 「自然との触れ合い」については、一般的指針を定めた「基本的事項」の時の生煮え感がまだ払拭されていない。それは、内容とする「景観」「人と自然との触れ合い」ともに不特定多数の人を主な対象としているためで、

 日本自然保護協会 環境アセスメント「人と自然との豊かな触れ合い」を考える − 基本的な考え方(平成11年6月 pp.21)

との違いが目立つ。そこでは、地域社会の歴史、生活からの視点を基本にしている。従って、同じようにアンケートやヒアリングを重要な手法としても、調査対象が違ってくるし、住民自身によるデータが重視されねがなるまい。又、オーバーレイが手法例として推奨されているが、これは生態系においてもっと使っていいのではないか。


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