万博評価書の公表(1999/10/25)

島津康男

 10月25日に「万博」の評価書(素案)が通産省に送付され、公表された。
準備書の段階まで同時平行してきた「新住」の評価書が8月23日に見切り発車的に公表されたのに続くものである。今後45日以内に環境庁長官の意見が出され、90日以内に通産大臣の意見が出て、素案を修正して評価書として確定する。
 現在この地方でアセス手続きが進行している「万博」と「中部空港」とは、ともに今の日本で珍しい巨大プロジェクトであり、「藤前」と合わせて「愛知はアセスの鬼門」と環境庁にいわせる位である。「万博」はアセス法の精神を先取りしたとされる事例であるが、11年2月に準備書を公表して以後、会場予定地内にオオタカの営巣が確認されて会場の変更を余儀なくされ、これまでの「海上の森」(瀬戸市)の部分を少し減らして、その代わり近くの「青少年公園」(長久手町)を新しく会場に加え、結果として全面積は倍増している。このように、アセス手続きの進行中に会場計画そのものが変わって行くのは珍しい事例であると同時に、事業者自身もいうように、アセスの結果を事業に反映させうる利点も持っている。アセス法が効力を発揮しているかを測るには、複雑過ぎる事例だともいえる。
 準備書が資料編をいれて1400ペ−ジ余であったのに対し、方法書は2400ペ−ジになり、異常に部厚である。本日入手したこの評価書はファイル版であり、準備書に対する住民意見はまだは入っていない。少し遅れて出る製版本にこれが入ると、もっと厚くならるであろう。まず、準備書段階での計画を第I案、青少年公園を含めた新計画を第II案として、それぞれの環境項目についての比較評価を行っているのは、アセス法の趣旨からみて適切である。但し、海上の森会場の施設を減らし、入場者を青少年公園会場にふりわけているのだから、第II案の方の負荷が少ないのは当然で、答えははじめからわかっている。さらに、青少年公園会場のアセスをちゃんと行っておらず、「青少年公園地区等編」という別冊(170ペ−ジ)では「検証」に止まっており、今後の追跡調査に任せているからである。それに、両会場の連絡路については触れていない。事業者はこの別冊をもとに、新しく関係地域になった長久手町で説明会を実施するようであるが、アセス手続きとしては異例なものにならざるをえない。本来なら、アセス法にあるように、関係地域の市町村が追加された場合、方法書段階からのやり直しが必要なのである。
 環境保全措置について不満が残る。準備書では、具体性がなくて先送りの形になっており、これは事業者も認めていたが、評価書でも進歩がみられない。せめて先日の「新住」にあったような、わかりやすく新鮮な書き方にならなかったろうか。会場の森会場のオオタカ問題は、結局煮えきらないままである。「新住」での環境庁意見もあり、そこで引き合いに出されたオオタカ調査検討会は万博側が作ったものなのだから、もう少し踏み込んだ自主意見があってもよかったろう。

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