瀬戸市南東部地区新住宅市街地開発事業に係る
 環境影響評価書に対する建設大臣意見について

島津康男

 11月26日付けで上記の意見が公表された。10月15日付けの環境庁長官意見と合わせて評価書の確定のための手続きであるが、両者を比べることは、環境影響評価法における今後の手続きのあり方にとって重要な意味を持つ。

 まず前文の形で、意見の本体が示してある。すなわち、
〔環境庁長官意見〕
 当該事業については、シデコブシをはじめとするこの地域に特有な生物種及び希少種であるオオタカが生育、生息する里山的な自然環境を有する地域において土地造成、住宅市街地開発を行うものであり、生態系や地下水への影響をはじめ、環境への影響に不明確な点も見られる。
 又、本事業の基本方針として、「自然にやさしいまちづくり」、「環境負荷の小さなまちづくり」が挙げられており、本事業の造成地を先行利用する2005年日本国際博覧会が「自然の叡知」をテ−マに検討されていることから、万全の環境配慮が社会的にも要請されていること等も勘案し、本事業の環境影響評価書について下記の意見を述べるものである。

〔建設大臣意見〕
 本評価書においては、環境庁長官の意見も勘案して審査した結果、適切に実施されているとともに、その内容も概ね妥当と認められる。
 しかし本事業は、その事業特性及び地域特性に鑑み、万全の環境配慮が社会的に要請されていることから、これを踏まえて下記の内容について環境保全の見地から意見を述べるものである。
 ついては、本意見にもとづき評価書への追加、修正を行うとともに、事業者への指導を徹底していただきたい。

 両意見ともその後に、「記」として全体的事項、大気環境関係、水環境関係、自然環境関係、環境への負荷の順に具体的な指摘事項を記載しているが、内容は一言一句全く同じで、建設大臣の指摘事項は環境庁長官の指摘事項を繰り返したものとなっている。
 したがって、同じ指摘事項を前文に要約したことになるが、環境庁長官が不明確な点をまず強調しているのに対し、建設大臣は「適切に実施、内容も概ね妥当」とこれまでの審査結果の方式を踏襲したものとなっている。手続きの上では、環境庁長官の意見は建設大臣に対するものであり、見かけ上環境庁長官の意見を尊重した形をとりながら、実際には無視したのと同じであるのは重大ではないか。全体的事項で万博との連携を破った見切り発車を戒め、またオオタカ調査検討会における検討結果を反映することの環境庁長官意見を認めているのであるから、全体として適切・妥当といえるのだろうか。環境影響評価法の形骸化の先例になるのを恐れるものである。
 なお、一方の万博では、追加会場内の残存森林に手をつけようとするなど、計画自体が固まる所か未だにフラフラしており、評価書の確定に程遠い状況にある。12月8日に想定される環境庁長官の意見がどうなるか、待たれる所である。


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