清渓川(チョンゲチョン)再生事業
の現在
  ー隔離された親水空間ー             島津康男  2005.5.19

 ソウル中心部の高架道路を撤去してもとの川に戻す事業は、2003年7月に着工し、現在進行中である。昨2004年4月には環境技術学会の有志が視察に赴き、「環境技術」8月号に竺文彦・三宅麻衣子氏による見学記が掲載されている。私はその後も継続的にウォッチを続けているが、この5月に赴いた時には、22の橋のうち21がすでに完成しており、地表の側道にはナンジャモンジャの並木ができて白い花をつけている。

■川面まで5m

 川岸部の工事も5.8kmの全区間にわたって半分終わり、川岸の遊歩道の整備中であるが水はまだ入っていない。全貌がはっきりしてくるにつれ、自然復元のうたい文句が空しくなってきた。
 まず地表部では、高さ1mの緑の金網フェンスが延々と川部を切り離している。地表から川面までの深さが5mになるし、ほぼ垂直の壁なので、安全のために入れないようになっているわけだ。

■橋・スロープ避難はしご
 ほぼ300mおきの橋は、それこそデザインコンクールで、古い石橋を再現したものから、橋面がX字型の凝ったもの、カラーで勝負したものと様々だが、問題は地表からのアクセスで、左岸に9ケ所、右岸に8ケ所の階段と橋よりも数が少なく、しかも必ずしも橋のところにないし、降りていくところを見つけるのが容易でない。
 障害者のためのスロープに至っては、両岸合わせて7ケ所しかない。それでいて、増水時のための避難はしごが16ケ所ある。増水といっても、何時もは水深40cmの川というよりも水溜りなのである。その幅数mの川部には所々に小さな渡り橋があり、散策に趣きを添えているものの、地表とそこから深さ5mの川岸とは全く遮断されている。「隔離された親水空間」というべきだろうか。
■水源
 
橋の下の壁面にある蓋は水の引き入れ口で、その水源は地下鉄からの漏水である。もっとも、主な水源は下流にある排水処理施設(復元区間内で発生する下水の3倍を処理できる1日195万トンの処理能力)からの浄化水である。実は、復元区間の最下流部で清渓川は右に大きく曲っており、そこで自然河川が合流していて、その水が主な水源なのである。さらに、この自然河川に沿って高架道路が走っている。つまり、人目に見えるところだけがショーの場であり、見通しのできないところは今まで通りなのである。
■ヒートアイランドへの効果は
 
私が最大の関心事である、風道の変化とこれによる気温の低下、つまり都心部でのヒートアイランドの解消への効果については、「観測結果の公表までもう少し待ってくれ」との一点張りなのに、現代建設による、橋のショーを中心にした工事経過のDVDはできており、押し付けるように渡してくれた。この映画のオープニングは何と道頓堀である。そして、10月1日のオープニングには是非来てくれといわれた。
■最下流部に記念施設
 
なお、これらの22の橋の写真は、SEOUL NABI.COMのサイトにに載っており、これには高架道路のある地区も出ている。また、ソウル市はこれまでのハングル版・英語版に加えて新たに日本語版の冊子「ソウルの夢と現実 清渓谷川 2005年版」43ページを作った。これには、最下流部に作っている「清渓川文化館」という記念施設についても書いている。

!おまけの観光案内 ★
 
ついでにいうと、今回は映画「真尾島(シルミド)」の舞台になった島を見てきた。ならず者を集めて作った北への侵攻部隊の訓練場があった小さな島で、反乱をおこしてソウルの大統領官邸に行こうとする途中にほとんどが殺された実話をもとにした映画の場である。もちろん昔の地図には載っていない。空港のターミナルからバスとフェリー(わずか5分)で隣の舞衣島に渡り、そこからは300mほどの踏み石で渡る。干満の差が9mに達するので、干潮時にだけ渡れる。だから、戻る時間を厳しく指定される。仁川空港への着陸時にすぐ目の下に見えるが、空港で乗降前に2時間くらい時間があり、かつ干潮時なら一度行かれたらどうか。空港島は焼きはまぐり、かきなどのの貝料理が名物である。

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