第11回 環境技術学会研究発表大会
                     期日:2011年9月5日(月)
               会場:大阪工業大学大宮キャンパス1号館(予定)
                   (大阪市旭区大宮5丁目16−1)


                  特別講演会(同日開催)
     [都市静脈系の新展開−廃水からの資源・エネルギー回収−]
 20世紀に劇的に発展した都市では,その活動の効率化のために水やエネルギーをはじめとした多くの資源を消費してきた.その老廃物である廃水,廃棄物などにより引き起こされる環境負荷の増加に対し,負荷の低減をめざして下水道や廃棄物処理施設といった都市静脈系施設が整備されてきた.しかし,従来の下水道や廃棄物処理施設では,環境負荷を低減する過程におけるエネルギー消費や温室効果ガスの排出についてはあまり考慮されていなかった.
 近年,低炭素社会の実現へ向けた取り組みの中で,廃水や廃棄物に含まれる有用な資源やエネルギーを積極的に活用する技術が進展しつつある.これらの技術が普及することにより,都市静脈系施設の位置づけ自体も変わる可能性を有している.そこで,中でも廃水からの資源・エネルギー回収に的を絞り,その現状を確認するとともに将来の可能性について論じてみたい.

 基調講演  「持続可能な社会を目指す都市水循環利用システム」
 下水道は、今や持続可能な社会を支える重要な社会インフラへと変遷しつつある。既に我が国においても、下水からの資源、バイオマス、熱などの回収は下水道行政における重要な施策となりつつある。世界的には都市の人口と経済は伸び続けており、これを支える水資源需給は今後とも一層深刻化するだけでなく、適切な処理がなされなければ、発生する廃水により質的に水資源価値が失われる。
 本講演では、均一な質で供給され、ほとんどが水の輸送エネルギーに使われている水道システムと、都市の水を集め、ほとんどを処理エネルギーとして使って処理水を水環境に捨てている下水道システムからなる「一過型」の水利用から、カスケード利用を目指すことでエネルギーの改善と水に含まれるリスク要因を制御する新しい都市水循環利用システムへの転換の必要性を述べる。この21世紀型の循環型都市水利用システムの構築のため、新しい水処理技術を開発し、その利用用途と安全性、エネルギー、環境負荷の特徴を明らかにするため、現在進めているCRESTプロジェクトの概要を講演する。
                               
京都大学大学院工学研究科  田中宏明先生

 
講演 1. 「下水処理場をバイオマスエネルギーから考える
       ―処理場のエネルギー収支検討と消化ガス発電による利用実績―」

 下水中の有機物のもつ化学エネルギー(発熱量)利用の観点から下水処理場を評価するために、流入下水及び処理過程(水処理、汚泥処理)での発熱量を年4回実測した。実測値をもとに、各処理過程でのエネルギー収支を求めた結果、反応タンクでの生物処理で流入エネルギーの約3割が消費され、消化により流入エネルギーの約3〜4割がメタンガスとして回収できていることが明らかになった。消化ガス発電では、発電効率が約39%であることから、流入エネルギーの約1〜2割を電気エネルギーに変換できている。これは、処理場での使用電気エネルギーの約3〜4割にあたり、エネルギー自立化に向けての基礎資料が得られた。
                         (株)ニュージェック大阪本社 刑部忠彦先生

 講演 2. 「肥料利用を目指したリン吸着剤の開発」
 下水中に含まれるリンは富栄養化防止のために除去が求められる元素であるが、近年では資源としての枯渇が強く懸念されていることから、除去だけでなく回収・再利用を可能とする技術の開発・実用化が期待されている。リンを再利用可能な形態で回収する技術については、回収コストと再利用にあたっての資源としての価値のバランスが重要である。リンの消費用途の大半は肥料であることから、下水に含まれるリン酸イオンに対して良好な吸着特性を持ちながら、リン吸着後は肥料としての利用が期待できる組成で構成されるリン吸着剤を新たに設計・合成した。本講演では、このリン吸着剤の基礎特性、ならびに実下水への適用可能性について評価した結果を論じる。
                          (株)東芝研究開発センター 辻 秀之先生

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