「環境技術」2004年11月号 記事情報

掲載年 2004
巻(Vol.) 33
号(No.) 11
825 - 825
記事種類 特集のねらい
記事タイトル 「オゾン促進酸化法の技術展開と適用」特集
著 者 宗宮 功
第1著者ヨミ そうみや
第1著者所属 龍谷大学
要 旨
特集タイトル オゾン促進酸化法の技術展開と適用
特集のねらい  水処理工程の高度化は待ったなしになりつつある.より安全で安心でき,自然を堪能し,快適な生活を楽しめる水辺を生活域に構築しようとする環境の時代にあっては,汚水も処理して投棄するものから,資源として再生利用するものへと変化してきている.その意味で,汚水の処理は高級処理でとどまることなく,高度処理が求められ,残存微量有機物量や色・臭気の除去だけでなく,病原性ウイルス・細菌・原生動物,あるいは難分解性微量有害物質の除去が求められるようになっている.
 従来の都市下水処理にあっては,有機物除去のために活性汚泥法などの微生物処理が中心施設として建設されたが,今では富栄養化防止のために,窒素リンを微生物で除去する方向へと,処理施設の改造が進められる段階へ来ている.ただ,微生物処理にはそれぞれ処理限界があることは周知の事実であり,処理水の再利用となると,膜処理のような物理処理や,あるいはオゾン酸化処理などの化学処理との併用処理が欠かせない.
 オゾン処理法も第1義的には,オゾンの酸化力を活用した脱臭や脱色対策として活用され,今日に至っているが,有機物を無機化し,除去する機能は低く,限界があることがわかっている.このため,オゾン処理を有機物処理に使う目的は,残存有機物の質を変えて,親水化し,微生物分解性を向上させるためで,これらの除去にはまた微生物処理がいる.したがって,有機物として微量に残存する難分解性汚染物質を直接無機化処理するには,促進酸化処理法の適用がいる.この処理にあっては,反応器内にいかにOHラジカルなどROS(反応性酸化種)を効率的に発生させ,保持し,対象物と反応させるかが技術開発の主眼となる.現実には,オゾンや UVを過酸化水素,水酸イオン,TiO2(触媒)などと共存させ,有機物と反応させる方式が多く取られる.問題は,OHラジカルの寿命が極端に短いことであり,また直接制御管理に使える測定手段がまだ開発されていないことである.また,オゾン処理単独あるいはUV照射単独の処理では十分なOHラジカルを確保できないため,オゾン+UVやオゾン+過酸化水素などのようにいくつかの操作を同時に組み合わせなければならないことである.
 このオゾン特集では,5編の論文を記載したが,前3者はOHラジカルをいかに効果的に活用するかを,また後2編は特定な場での適用開発を進めた成果を示している.第1並びに第2の論文では,オゾンと過酸化水素の併用法の機能について検討したもので,第1報では微量物質としてフタル酸ジ-n-ブチルをターゲットとし,その酸化分解における共存有機物の妨害効果を実験的に検討している.第2報では,反応を効率的に進めるために過酸化水素の添加位置を実験的に検討し,オゾン単独処理+過酸化水素添加後のオゾン処理の2段処理で,THMFPの低減,臭素酸イオンの生成抑制,オゾン難分解性物質の低減が可能になることを示している.なお第3報は,新たなOHラジカルの発生法として,オゾン電解併用処理法を取り上げ,実験的検討を進めたもので,電気さえあれば外部から薬品類を持ち込むことなく処理が可能となり,オゾン単独処理よりはるかに効果的になることを示している.第4報は汚水の栄養塩を嫌気―無酸素―好気法で処理する際,好気槽からの循環液の一部をオゾンで処理し,汚泥を溶解して発生量をほとんどなくし,リンをHAP晶析槽で低減する方式を提示している.また第5報は,特異なオゾン処理技術の開発例で,プリント配線板上に作業後に残る有機物残渣を高濃度オゾンガスで処理する方式を確立するもので,氷酢酸液にオゾンガスを潜らせて反応させることにより処理効率を高めうることができたとするものである.