「環境技術」2005年5月号 記事情報

掲載年 2005
巻(Vol.) 34
号(No.) 5
348 - 348
記事種類 特集のねらい
記事タイトル 「GISを活用した環境解析」特集
著 者 藤森茂之
第1著者ヨミ ふじもり
第1著者所属 中央復建コンサルタンツ(株)
要 旨
特集タイトル GISを活用した環境解析
特集のねらい  GIS(Geographical Information System:地理情報システム)とは,位置情報を持つデータを統合・管理するシステムの総称であり,「空間データを収集・格納・加工・分析・表示するシステム」である.GISの最大の特徴は,位置の情報を有する各種の情報を空間的に処理できることであり,GISを活用することにより,空間的解析,レイヤの重ね合わせ解析,属性の検索・集計などを行うとともに,これらを組み合わせることで種々の解析・処理を実施することができる.
 GISは,防災,都市計画等の分野で広く活用されているが,最近では環境アセスメントや事後調査(モニタリング調査),生物の生息環境の解析,道路交通騒音の面的評価においても積極的に活用されており,有効なツールとして十分機能している.GISは,リモートセンシング技術やGPS(Global Positioning System:全地球測位システム)とリンクさせることが可能であり,その応用範囲は広いものと考える.
 また,GISを活用した環境情報のデータベースについては,(独)国立環境研究所環境情報センターがインターネット上で公開している「環境 GIS」等がある.「環境 GIS」は,全国の環境の状況について,GISを用いて提供するシステムであり,環境省や(独)国立環境研究所により調査された測定データや法規制の状況を地図やグラフにより閲覧等を行うことができる.GISの特徴は,位置の情報を有する各種の情報を空間的に処理できることであり,「環境 GIS」等の既存のデータベースと各種データベースを位置の情報により媒介して,有機的に結びつけることにより,新たな有用な情報を得ることが可能であると考える.
 本特集は,環境アセスメントや地域環境の解析・評価,自然再生事業などの種々の環境分野に利用できる GISを活用した環境ベースマップの役割や考え方,環境ベースマップの作成とその活用,生態ネットワーク計画における GISの利用,道路交通騒音の面的評価事例について,最近の動向を踏まえて紹介することをねらいとしたものである.
 荒牧まりさ氏(環境省総合環境政策局)には,「環境アセスメントにおけるベースマップの役割」と題して,環境影響評価法に基づく基本的事項の点検状況について説明していただくとともに,「環境影響評価の基本的事項に関する技術検討委員会報告」の課題を踏まえた GISとその地図情報の果たしうる役割について言及していただいている.
 飯塚康雄・佐伯緑・松江正彦氏(国土交通省国土技術政策総合研究所)には,「生態ネットワーク計画における GISの利用」と題して,土地利用や植生等の基盤環境データ,生息分布データに法的規制等の社会条件データを使用して GISにより空間解析を行うことにより,生態ネットワークの現状評価や保全・創出地の抽出を効率的に行う方法について言及していただいている.
 増澤直氏(樺n域環境計画)には,「地生態学を基礎とした環境ベースマップの作成とその活用」と題して,環境アセスメントの実施に当たって GISデータとして扱えるデジタルベースマップの整備が非常に有効であることを述べられた上で,環境類型区分図やポテンシャルハビタットマップ等について解説していただいている.
 また,八川圭司氏(中央復建コンサルタンツ(株))には,「GISを活用した道路交通騒音の面的評価」と題して,システムの全体構成や機能の概要について述べていただくとともに,道路交通騒音の面的評価結果について事例紹介し,GIS活用の有効性について解説していただいている.
 今後,環境アセスメント等において GISの活用がますます進展するものと考えられるが,本特集がその一助となることを期待するとともに,ご多忙の中ご執筆いただいた先生方に深く感謝申し上げる.