「環境技術」2005年12月号 記事情報

掲載年 2005
巻(Vol.) 34
号(No.) 12
837 - 837
記事種類 特集のねらい
記事タイトル 「室内環境汚染によるヒトへの影響」特集
著 者 玉置元則
第1著者ヨミ たまき
第1著者所属 (財)ひょうご環境創造協会
要 旨
特集タイトル 室内環境汚染によるヒトへの影響
特集のねらい  京都議定書が発効した今,もっとも重要な大気汚染・環境問題は地球温暖化対策である.これを含めて,多くの地球規模の環境問題に関心が注がれ,国際的な枠組みのなかで,エネルギー,資源,環境問題への対応が迫られてきている.
 しかし,一方では汚染物質が排出された場所とそれがヒトや動植物に影響を与える場所が近接した「地域汚染」が,静かに,またある場合にはパニックの様相を帯びて登場してきている.これらには,ゴミ焼却場からのダイオキシン類や中皮種をもたらすアスベストがある.
 さらにもっと身近な問題として,私たちが日常居住している住居や学校施設に起因する環境問題もある.住まいは一家団欒の場でもあり,幸せな家庭を保証する憩いの場であった.同様に,学校も未来の社会を支える子供たちを育む安全で安心な教育現場を保証してきた.また,オフィスビルなどの建物は快適な職場環境を提供してきた.しかし,近年,住宅などの室内空気が原因となって引き起こされるシックハウス症候群が社会問題となっている.この定義は難しいが,一般的には居住者の健康へ何らかの影響を与える住居に起因する健康障害であり,住居が高気密化したり建材などに種々の化学物質を使用することにより,居住者に体調不良を生じさせている現象である.しかし,その原因は単にホルムアルデヒドやトルエンなどといった化学物質に限らず,細菌,ウイルス,カビなどの生物的要因や低周波振動や電磁波などの物理的要因も考えられる.
 本特集は,ごく平凡なヒトの健康,とりわけ公衆衛生(家庭衛生)を中心とした内容とし,家具,建材等から放出される化学物質に係わる問題に多面的に視点をあてたものである.
 中明賢二氏(麻布大学)には公衆衛生・医学的観点から,人体への影響を整理していただいた.室内汚染物質の種々の発生源ならびにシックハウス症候群の概要を歴史的な経緯を踏まえて詳述されている.室内環境汚染物質の発生源の測定例,室内環境汚染物質の健康影響の具体例ならびにこのことに基づく今後の課題にも触れられている.坂部貢氏(北里大学)には,このような化学物質が人の体内でどのように変化し影響を与えるのかという発症機構を医学的な立場から解説していただいた.特に個人差要因,アレルギー・免疫学的側面と心療内科的側面から整理していただいている.小峯裕己氏(千葉工業大学)には,建築分野での発生源対策として,建材に関する対策,吸着建材,吸着分解建材による放散速度の減衰,空気清浄機による浄化,安定した換気量の確保,工程管理による放散速度の減衰などに分けて最新の知見を整理していただいた.大道正義氏((独)国立健康栄養研究所)には,行政の対応ならびに事例解決を整理していただいた.各機関連携の構築ならびに症状の解消を目的に共同研究を重ね,発症原因の追究,除染工事法の検討を行ない,事象解決に努められた事例が詳述されている.伏脇裕一氏(神奈川県衛生研究所)には,室内環境汚染物質の測定方法の現状を解説していただいた.パッシブ法とアクティブ法による試料採取,ホルムアルデヒドやトルエンなどの分析方法の概要を示されるとともに,国立医薬品食品衛生研究所と地方衛生研究所で組織的に行なった実態調査の結果も示されている.土屋悦輝氏((株)環境管理センター)には本課題に関する行政対応を記述していただいた.厚生労働省など各省庁別の取組みならびに自治体での対応を示していただいている.