「環境技術」2005年12月号 記事情報

掲載年 2005
巻(Vol.) 34
号(No.) 12
866 - 866
記事種類 特集のねらい
記事タイトル 「土壌汚染のない国づくりを求めて」特集
著 者 福永 勲
第1著者ヨミ ふくなが
第1著者所属 大阪人間科学大学
要 旨
特集タイトル 土壌汚染のない国づくりを求めて
特集のねらい  本年度環境技術学会第5回研究発表会は,表題にあるいささか大きい主題「土壌汚染のない国づくりを求めて」をメインテーマとして,あらゆる「環境技術」の研究発表の場として大阪大学コンベンションセンターで,平成17年(2005年)9月16日(金)に開催された.その中で,メインテーマは“特別セッション”として,4人の講師の講演とパネルディスカッションが行なわれた.
 さて,「土壌汚染対策法」ができて早くも3年が経過し,各地,とくに大阪をはじめとした都市部の土壌汚染問題が明らかになっている例も少なくない.その場合,住民と行政,企業,さらに研究者が協力してあたらないと解決できない課題が多くなっている.しかし,その具体的な経過や対策事例が今ひとつ明らかにされていないことが多いことも周知のとおりである.さらに,法令的な課題や資産価値の問題,土地履歴のデータベースがないなどという課題がより問題を複雑にしている.そこで,土壌汚染対策技術は言うに及ばず,こういったあらゆる課題・解決策を持ち寄り,皆様の議論を積み上げることで,循環型社会への一歩を踏み出したいと思い企画した.
 そこで,まず土壌汚染問題とは何か,これは土地汚染問題ではないか,さらにその解決を困難にしている根本的な要因は何であるか,社会的な点にあるのか,技術的な課題にあるのか,歴史的経過を含めて総合的に考察をしたいと考えて,環境省の委員などをされていて深い論議を経験しておられる和歌山大学システム工学部教授平田健正先生に基調講演をお願いした.
 つぎに,具体的な土壌汚染問題の解決事例として,その中でとくにリスクコミュニケーションをどのようにはかっていったのか,住民と行政の協力した解決事例を紹介して頂くために,大阪市環境事業局副島忠男氏に事例紹介をお願いした.その内容は,事前に工事目的,工事内容を住民に充分説明するとともに,工事中は終
 さらに,土壌汚染対策の技術的な到達点がどのようなレベルにあって,残された課題は何であるかを明らかにするために,国際航業(株)中島誠氏に「土壌・地下水汚染対策技術の現状と今後の展望・課題」をご講演頂いた.この中で,土壌汚染対策技術を総合的に紹介し,その特徴と限界,適応性,アメリカと日本の比較,今後の課題などを整理してご講演頂いた.
 最後に,不動産価値や社会問題としての土壌汚染対策を(財)日本不動産研究所山本忠氏にお願いした.氏は,わが国における不動産市場の現状から来る土壌汚染問題の本質,その複雑性,不動産の価値と金融機関との関係,企業会計との関係などわが「環境技術学会」ではあまり耳にすることができない視点からの土壌汚染問題を話された.
 その後,各ご講演の先生方には時間的にタイトで,残り時間も少なくなったが,パネルディスカッションでは具体的なケースでリスクの現れ方やリスクについての住民の不安とその解消方法,すなわちリスクコミュニケーションの実際,あるいは大阪府独自の条例に基づくケース,最後には「土壌汚染のない国づくりとは」,「最終的な土壌汚染問題の解決方法はどのようにあるべきか」などが論議となった.
 本特集は,講演者の先生方に特別シンポジウムを終えてあらためて全体を見渡して発表原稿に加筆修正を加えて頂いたものである.お忙しい中本誌編集委員会のご要望にお応え頂いた諸先生方に厚く御礼申し上げたい.