「環境技術」2006年12月号 記事情報

掲載年 2006
巻(Vol.) 35
号(No.) 12
861 - 861
記事種類 特集のねらい
記事タイトル 「最近の環境アセスメントと今後の動向」
著 者 藤森茂之
第1著者ヨミ ふじもり
第1著者所属 中央復建コンサルタンツ(株)
要 旨
特集タイトル 最近の環境アセスメントと今後の動向
特集のねらい  環境影響評価法は,平成11年6月に全面施行されて,約7年半が経過した.環境影響評価法における「基本的事項」は,事業種別に主務大臣が定める「(1)事業種別の判定基準,(2)事業種別の選定指針,(3)事業種別の対策指針」(主務省令)について,事業の種類にかかわらず基本となる事項を横断的に環境大臣が定めたもので,環境影響評価の技術的な根幹である.
 環境影響評価法では,基本的事項を5年程度ごとに見直し,点検結果を公表することになっている.環境省は,平成16年4月から点検を開始(有識者からなる「環境影響評価の基本的事項に関する技術検討委員会」を設置)し,平成17年2月に委員会報告及びそれを踏まえた点検結果を公表,これに対するパブリックコメントの募集を行い,平成17年3月30日に点検結果やパブリックコメントの内容を踏まえた「基本的事項」の改正を告示した.これに続いて,平成18年3月に,基本的事項を踏まえた主務省令が改正・公布され,平成18年9月30日から施行されている.
 本特集は,以下の2点について最近の動向を踏まえて紹介していただくことをねらいとするものである.(1)個別事業の特性に応じたメリハリのある項目,手法の選定の強化や早期段階からの環境配慮の促進等が求められている「事業実施段階の環境アセスメント」について,基本的事項や主務省令の改正のポイント,最近の環境アセスメント制度の運用状況,運用面での課題等(2)事業実施段階の環境アセスメントの対策に関する選択肢が限られ,必ずしも十分な対応ができないことを改善するための「計画や政策といった事業の実施前の戦略的な意思決定段階での環境影響評価(戦略的環境アセスメント)」の動向と導入に向けた課題等
 早水輝好氏(環境省総合環境政策局環境影響審査室長)には,「環境アセスメント制度の運用状況とその改善の方向性」と題して,基本的事項や主務省令の改正の概要を含めて最近の環境アセスメント制度の運用状況を紹介するとともに,運用面の課題と改善の方向性,よりよい環境影響評価方法書,準備書,評価書の作成に向けた留意点等について,簡潔にとりまとめていただいている.
 村山武彦先生(早稲田大学理工学部教授)には,「戦略的環境アセスメントの動向と導入に向けた課題」と題して,戦略的環境影響評価が求められる背景や発展過程,定義を紹介するとともに,実施のための要件,欧米や日本における導入状況,今後日本での導入に向けた課題について的確に言及していただいている.
 島津康男先生(名古屋大学名誉教授)には,「戦略アセスにどう備える?」と題して,戦略的環境アセスメントの先行事例からあるべき姿を読み取り,導入に当たっての留意点と市民の備え方について幅広い観点から簡潔に提案していただいている.特に,戦略アセスでの評価の方法,参加型の戦略アセス(戦略アセスと事業アセスとの関係,戦略アセスの設計段階からの市民参加の必要性,PI(パブリックインボルブメント:公衆参加)との関係,通訳機能をもった司会者の必要性)について,大変わかりやすく解説していただいている.
 今後,環境影響評価法の改定が3年後に行われると思われるが,事業の計画段階や政策決定段階で行う戦略的環境アセスメントの導入も重要な課題になるものと考える.事業実施段階の環境アセスメントがメリハリのきいたわかりやすい内容になるとともに,計画段階等の戦略的環境アセスメントに積極的に取り組むために,本特集がその一助になることを期待したい.最後に,今回の特集にあたって,ご多忙にもかかわらず快くご執筆いただいた先生方に深く感謝申し上げる.