「環境技術」2009年4月号 記事情報

掲載年 2009
巻(Vol.) 38
号(No.) 4
225 - 225
記事種類 特集のねらい
記事タイトル 「最終処分場のあたらしい考え方のために」特集
著 者 福永 勲
第1著者ヨミ FUKUNAGA
第1著者所属 元大阪人間科学大学
要 旨
特集タイトル 最終処分場のあたらしい考え方のために
特集のねらい  本誌では,廃棄物最終処分場に関する特集として最近 10年では,「浸出水処理技術」(vol.31(8)(2002))「諸外国の廃棄物最終処分場」(8)(vol.32(2003)),「再生技術と早期安定化」(vol.33(2)(2004)),を特集してきた.その流れは,いずれも最終処分場を効率的に利用し,延命化を図り,かつ早期に安定化して,跡地利用を図ることを主眼とするものであった.しかし,その後約5年経過し,上記の考えは留意しつつも,地球温暖化問題とも関連して,地球資源の効率的利用,すなわち最終処分(埋立)する廃棄物を減少させる考えが強まり,また早期安定化のためにも埋立物を選別,あるいは事前処理しようとする考えが強まってきた.
 このような流れの中で,折しも第2次「循環型社会形成推進基本計画」が,昨年平成20年3月閣議決定された.本特集に関係するところでは, 2000年度の資源生産性:26万円/トン,循環利用率:10%,最終処分量:5,700万トンを,2015年度にはそれぞれ42万円(約6割向上)14〜15%(約4〜5割向上),2,300万トン(約6割削,減)としようとする計画で,最終処分量だけ見ても,2006年度実績の3,080万トンからもさらに 25%以上削減する必要に迫られている.
 これらの時代にあって,この特集企画の必要性を感じていた時に,ちょうど時宜にかなって,昨年平成20年度廃棄物学会(現:廃棄物資源循環学会として改組)研究討論集会において,「社会システムとしての持続可能な最終処分:高規格最終処分とは」という研究発表がなされた.その発表の目的は,この研究プロジェクトのまとめ役である井上1)が述べているように,埋立処分への 1)入れる物(廃棄物),2)いれもの(施設・構造),3)入れ方(埋立工法や維持管理方法・概念)の3要素から捉え,受け入れる廃棄物の選択や前処理などの上流対策も含めた「トータルな社会システムとしての高規格な最終処分場の構築」を目指したものであった.
 そこで,本誌でもあたらしい考え方に沿って,入れるもの,入れもの,入れ方の3方面にわたって,それらの発表者を中心にわかりやすく解説して頂こうと企画した.
 まず,樋口壯太郎氏には,あたらしい最終処分場の流れについて既設から新設処分場,さらに最終処分場からの脱却について解説して頂いた.
 さらに,山田正人氏等には,産業廃棄物の流れについてあたらしい考え方を整理して頂いた.
 つぎに,入れるものを減容化及び早期安定化のために廃棄物を破砕・選別,洗浄する方法の検討結果を渡辺洋一氏にご報告して頂いた.
 また,入れるものの改善の方法として,焼却灰への有機物(生ごみ)の添加によって,脱塩,早期安定化をし,その安定化物をセメント原料にすることを目指すというまったくあたらしい研究結果を島岡隆行氏にご報告頂いた.
 つぎに,入れもの改善の方法として,朝倉宏氏等には,覆土と廃棄物層の透水性を改善して,早期安定化を目指した結果をご報告して頂いた.
 さらに,入れ方(入れもの)改善の方法として,立藤綾子氏等には堆肥化物の覆土による焼却残渣の早期土壌還元をご報告して頂いた.
 最後には,入れ方研究の一つとして,松藤敏彦氏にはごみ処理施設に対する住民の印象などをアンケート結果に基づいてご報告頂いた.
 以上,あたらしい考え方での最終処分場について入れるもの,入れもの,入れ方の3つの側面から論じて頂いた.これらと5年以上前の本誌最終処分場の特集を読み比べて頂いたら,流れが大きく変わってきていることがおわかり頂けよう.最後になりますが,お忙しい中快くご執筆頂いた著者の皆様方に厚く御礼申し上げます.
参考文献
・井上雄三;社会システムとして持続可能な最終処分 :高規格最終処分とは研究全体の枠組み,平成20年度廃棄物学会研究討論会研究論文集,57-59,2008.