「環境技術」2011年7月号 記事情報

掲載年 2011
巻(Vol.) 40
号(No.) 7
385 - 385
記事種類 特集のねらい
記事タイトル 「交通騒音の最近の話題」特集
著 者 藤田眞一
第1著者ヨミ FUJITA
第1著者所属 藤田技術士事務所
要 旨
特集タイトル 交通騒音の最近の話題
特集のねらい  騒音や悪臭は,人の聴覚や嗅覚で直接に感じるものであり,苦情件数も多い.本特集では,人や物の移動に伴って発生する,人間活動と関係の深い問題である交通騒音を取り上げて,最近の話題等について紹介する.
 騒音については騒音源の種類により,その評価方法等が異なる特徴がある.本特集においては,まず,千葉工業大学の橘秀樹教授に,交通騒音を中心に,環境騒音の測定・評価方法,法律・基準の体系について解説をいただいた.
 航空機騒音は,昭和 48年12月に WECPNLによる環境基準が設定され,長年運用されてきた.しかし,WECPNLを用いている国は日本・韓国等と少なく,国際比較に問題があった.そして,成田空港の暫定平行滑走路供用後に観測された,2本の滑走路に離着陸する航空機全てを対象とした評価値が,どちらか1本の滑走路に離着陸する航空機のみを対象とした評価値よりも低くなる現象,いわゆる航空機騒音の逆転現象に端を発し,平成19年12月に航空機騒音に係る環境基準が WECPNLから Ldenに改正された.施行は,平成25年4月1日となっており.1年程度の新旧基準の平行測定期間を考慮すると残された時間は少なく,現在,各空港において新環境基準への対応が進められているところである.
 成田空港については,すでに新環境基準に対応したデータ処理システムが構築されているが,Ldenについては,地上音等も評価に含まれるため,これらも含めた騒音評価について検討されている.成田空港における新環境基準の対応について,.成田空港周辺地域共生財団の堀伸司氏等に紹介いただいた.また,ピーク騒音レベルをもとに評価値を算出する WECPNL(日本式)とは違い,継続時間における騒音レベルの積分値をもとに評価値を求める Ldenの適用は,関西国際空港や中部国際空港のような海上空港では,陸域で航空機騒音とバックグランド騒音の差が小さいため,航空機騒音の聞こえ始めから終わりまでをどう識別するかなど問題も多い.海上空港における新環境基準対応の問題点と解析手法について,日東紡音響エンジニアリング(株)の忠平好生氏に紹介いただいた.
 鉄軌道騒音については,昭和50年7月に新幹線騒音の環境基準が設定された.しかし,在来鉄道の騒音については環境基準がなく,新設や大規模改良の在来鉄道については環境省から平成7年12月に騒音対策の指針が出され,運用されてきた.平成22年5月には,これまで適用されてこなかった既設の在来鉄道の騒音について測定・評価マニュアルが作成され,同時に,新幹線についても新しい測定・評価マニュアルが作成された.鉄軌道騒音の現状と対策について,在来鉄道の騒音測定と評価を中心に,新幹線騒音の新マニュアルも含め,宮城県保健環境センターの菊地英男氏に解説をいただいた.
 道路交通騒音については,本誌の平成19年10月号において特集されたところであるが,今回はエコカーの音の問題について取り上げる.電気自動車(EV),燃料電池自動車(FCV),ハイブリッド車(HEV)などのエコカーは,今後,確実に普及していくと考えられる.これらの自動車は騒音面においても,エンジン音が非常に小さく静かである.しかし,それ故,後方から近づいてきても気が付かないという交通安全上の問題がある.この問題に対しては,交通安全と騒音という両方の観点から検討していく必要があり,各国で検討が始まっている.音の静かなエコカーの対策と課題等について,長崎大学大学院の山内勝也助教に研究事例を紹介いただいた.
 東日本大震災後の大変な中で執筆いただいた著者の方々(菊地英男氏は勤務先の県保健環境センターが大きな被害を受けられた)に感謝するとともに,本特集が,良好な音環境が保全される中で復興することの一助となることを願うものである.