「環境技術」2012年10月号 記事情報

掲載年 2012
巻(Vol.) 41
号(No.) 10
593 - 593
記事種類 特集のねらい
記事タイトル 「第6回世界水フォーラムの成果と課題」特集のねらい
著 者 仲上健一
第1著者ヨミ NAKAGAMI
第1著者所属 立命館大学
要 旨
特集タイトル 第6回世界水フォーラムの成果と課題
特集のねらい  第6回世界水フォーラム(主催:フランス政府,世界水会議)が2012年3月12日から17日まで,フランスのマルセイユで開催された.3年に1度開催されるこのフォーラムは,水分野で最も重要な国際イベントの一つで,今回も世界173ヶ国から約2万人(日本関係約100人)が参加した1).今回のフォーラムは「Time for Solutions:問題解決の時」という主題で,国連持続可能な開発会議「リオ+20」に向け,この決定的なステップのためにマルセイユ閣僚宣言において明確な政治的優先課題を示そうという意図が明確であった.会議は,閣僚会議,国別会議,セッション(約250ヶ所),ハイレベルパネル,地域プロセス等が開催された.また,各国のパビリオン・ブースでも,積極的にそれぞれの水問題の重要性・ネットワークの必要性を訴えていた.会議に先立って,2010年6月2日に,フランス・パリで第6回世界水フォーラムキックオフ会議が,主要関係者の参加のもとに行われた.サルコジ・フランス大統領(当時)は,「人口増加,汚染,気候変動による脅威の存在,水飢饉への懸念を強調し,トルコからの継承,南アフリカとの協力を軸に世界の水問題解決に向けた行動を促進すべく,特に水を政策課題の中心とすること,水の権利を確保することの重要性」について強調した2).テーマプロセスとして,2012年3月までの限られた時間と空間の中で,成果を最大限に上げることの工夫が必要という前提の下,次の10テーマについて解決策を導くための課題と目標をグループ形式で意見集約するという方式が採用された.すなわち,ガバナンス,アクセス,気候変動,権利,バランシング,キャパシティビルディング,越境,水と食糧,リスク,イノベーション等々である.テーマプロセスでは,さらに強く政治プロセスに含まれるようにすべきであるということが強調された.このキックオフ会議で実質的に第6回世界水フォーラムがスタートしたのである.筆者も,開催期間中,様々なセッションに参加したが,会場では事前に議論がインターネットを通じて深められ,整理された論点を持ち寄って,確認する場であったという印象を得た.これらの準備プロセスも含めた議論の集大成として,閣僚宣言が発表され,「最も弱い立場にある人々に焦点を当て,水と衛生に対する権利の実現に向けた取り組みの速度を加速していくことや,排水管理の重要性,水・エネルギー・食糧という水関連分野間の一体的な取り組みの必要性」が強調された3)
 日本パビリオンでは,日本の技術,経験の共有を通じて水ビジネスに関する情報を発信,東日本大震災を踏まえた復興状況等について情報発信を軸として,そのアピールは「巧み(洗練と先進)」「和み(調和)」そして,「絆」である.本特集では,,第6回世界水フォーラムに参加した人間文化研究機構総合地球環境学研究所関係のサイドイベントの報告を中心に,会議の成果と課題を整理して,水問題解決への道のりを見据える議論を深めることをねらいとしている.総合地球環境学研究所では,基幹研究プロジェクトとして「統合的水資源管理のための『水土の知』」を設える」(プロジェクトリーダー:渡邉紹裕教授)をテーマとして設定した4).サイドイベントのテーマは,「地域レベル水管理のフレームワークのデザイン:統合的水資源管理の枠組みにおいて」であり,報告・ラウンドテーブルを行った.本特集が,「水土の知」のあり方を探るという壮大なプロジェクトの取り組みの一歩となることを願っている.

文 献
1)山口範子;第6回世界水フォーラムにおける活動報告,国連「世界水の日」記念イベント,日本水フォーラム,2012年3月22日.2)日本水フォーラム;“第6回世界水フォーラムキックオフ会合”〈http://waterforum.jp/jpn/6th/top_main2_r.html〉(参照,日2012-8-6).3)日本水フォーラム;第6回世界水フォーラム速報,Vol.2,2012年3月16日.4)渡邊紹裕;統合的水資源管理のための「水土の知」を設える,総合地球環境学研究所要覧2012,2012年4月.