「環境技術」2016年6月号 記事情報

掲載年 2016
巻(Vol.) 45
号(No.) 6
281 - 281
記事種類 特集
記事タイトル 特集のねらい(廃棄物処理が目指す方向)
著 者 守岡修一
第1著者ヨミ MORIOKA
第1著者所属 元 川重環境エンジニアリング
要 旨
特集タイトル 廃棄物処理が目指す方向
特集のねらい  わが国の廃棄物処理は減量化と衛生的な中間処理として,また最終処分場での減容化を目指して焼却処理に重点をおいて施策が図られてきた.今日まで廃棄物処理において焼却処理は十分その役割を果たしてきたが,近年の廃棄物量は減量傾向にあるものの,多様化に伴って焼却処理重点指向から,発生抑制とともに,再利用・資源化による廃棄物減量化を第一として施策が転換されつつある.
国としても第三次循環型社会形成推進基本計画を平成25年5月閣議決定し,その中で3Rはもとより,循環資源の高度利用・資源確保として使用済み製品からの有用金属・レアメタルの高度なリサイクル推進,安全・安心の確保のため東日本大震災の反省点を踏まえた新たな災害廃棄物対策指針策定,そして地球規模での循環型社会形成を図る国際的取り組みの推進など様々な方向性が示されている.特に廃棄物分野の地球温暖化対策の強化,災害時の廃棄物処理システムの強靭化には国としての支援の充実を図っている.
一方,廃棄物処理の主体である自治体では安全・安心とともに経済性の面から廃棄物処理施設の計画・建設・維持運営管理を一括で発注する方式も目立ってきている.
このような施策に対して今後廃棄物処理はどのように対応し目指していくのか,関西のプラントメーカー各社に,海外展開も含め,今後の廃棄物処理のシステム技術・運営等について実績データに基づき論じていただいた.
日立造船轄イ藤英夫氏らは,廃棄物をエネルギー供給事業として捉え,国内外の廃棄物とエネルギー事情を紹介し,特に国内では地方型事業モデルと都市型事業モデルを提案し,その廃棄物処理の進め方とその方向性を示している.川崎重工業樺|田航哉氏は,ごみ焼却施設のボイラ高温高圧化による発電量の増加,過熱器管の耐久性の向上,および蒸気安定性制御機能によって発電を安定化することでライフサイクルコストの低減を図っていることを論じるとともに,廃棄物系バイオマス資源の有効活用の実績を紹介している.潟^クマ飯田哲士氏は,脱硝技術の組み合わせや飛灰循環,水銀吸着活性炭投入に工夫したプロセスにより発電量増加と薬剤低減による維持管理費低減を提案している.叶_鋼環境ソリューション木下民法氏は,流動床式ガス化溶融炉の特性を生かし,埋立てごみを掘り起こして混焼することによる最終処分場の再生の実績を紹介するとともに,ごみ焼却施設のボイラ過熱器管での腐食環境を実証試験で解析しボイラ高温高圧化による発電量増加が期待できるとしている.クボタ環境サービス褐纉。謙治氏らは,回転式表面溶融炉による不法投棄産業廃棄物の豊島廃棄物等処理事業での溶融生成物の資源化技術の実績を紹介し,その溶融技術のブラッシュアップによるリン等有価元素,放射性廃棄物のセシウム分離を紹介している.
 各社ともコア技術を基軸としてその技術のブラッシュアップを図っている状況と言える.特に廃棄物エネルギーをできるだけ多く回収するため,ボイラの高温高圧化による発電と,所内エネルギー使用量をできる限り少なくするため簡素な排ガス処理システムを構築することによる発電量の増加を目指している.また,燃焼制御技術による安定化とともに排ガス損失熱を少なくしてエネルギーロスを少なくする燃焼技術も必要となるであろう.そして溶融による廃棄物からの有価物資源回収も資源確保の観点から今後注目されてくる技術と思われる.
 特に廃棄物処理の維持管理を含めた一括発注方式が多く採用されてきている現状では,経営上の観点からも長期安定性信頼性が要求されるので,各社は自信が持てるシステムを提案し,実用化にはそれなりの覚悟が必要となってくるであろう.