「環境技術」2019年6号 記事情報

掲載年 2019
巻(Vol.) 48
号(No.) 6
302 - 305
記事種類 特集
記事タイトル セレン含有廃水の生物学的処理プロセスの開発
著 者 狩山裕昭、安池友時、奥津徳也、朝田裕之
第1著者ヨミ KARIYAMA
第1著者所属 栗田工業
要 旨 1.は じ め に
  セレンは,ガラスの脱色剤や着色剤などの原料 として取り扱われている.一方,セレンは,石炭 火力発電所の排煙脱硫工程において,副生成物として排水中に含まれ,除害物質の対象となっている.我が国では,平成5年にセレンおよびその化 合物は水質汚濁防止法の一律排水基準(以下,排 水基準)の健康項目に追加され,排水基準値は0.1r/Lに定められている.
 石炭火力発電所において,石炭の安価な調達と石炭資源の有効活用を図る観点から,比較的灰分量が高く,元素セレン(Se0)などの重金属類を含んだ不純物が多い亜瀝青炭や褐炭などの低品位 炭の使用が多くなると予想される.低品位炭を使用する場合,脱硫廃水中のセレン濃度が高くなる場合がある.そのため,将来的にセレン処理設備 を導入する必要がある.
代表的なセレン処理技術を表1に示す.運用コストの観点から,還元体法1)と生物法2)が注目されている.生物法では,排煙脱硫廃水中に存在し ているセレン酸(SeO2−4 )を亜セレン酸(SeO2-3 )ないし元素セレンまで還元し,塩化第二鉄による凝集処理により除去できる.特に窒素規制がある 場所では,硝化脱窒設備が必要となるため,生物法が還元体法よりも運用コストの面から優位である.しかしながら,長期停止時などの負荷変動に対する検討や,生物学的セレン還元処理に影響を与える阻害物質をあらかじめ除去する必要がある.
 石炭火力発電所では,年に1回の長期メンテナンスがあり,脱硫廃水処理設備が1ヵ月ほど停止する場合があり,設備再稼働時にセレン処理設備を迅速に立ち上げる必要がある.しかしながら,再立ち上げ時に流動床(以下,MB; moving bed)MB方式と固定床(以下,FF; fixed-film)方式で立ち上げ性能について調査した例がない.
 そこで本報では,模擬脱硫廃水を用いて生物学的セレン還元試験を実施し,MB方式とFF方式の再立ち上げの性能を評価した.
キーワード:排煙脱硫廃水,生物学的セレン還元,流動床方式,固定床方式,微生物群集構造
特集タイトル 環境・資源保全に資するメタルバイオテクノロジー
特集のねらい