「環境技術」2019年6号 記事情報

掲載年 2019
巻(Vol.) 48
号(No.) 6
306 - 309
記事種類 特集
記事タイトル アンチモン呼吸細菌の単離とその廃水処理への適用の可能性
著 者 山村茂樹、天知誠吾
第1著者ヨミ YAMAMURA
第1著者所属 国立研究開発法人国立環境研究所 
要 旨 1.は じ め に
アンチモン(Sb)は,周期表上でヒ素と同じく15属に位置する半金属元素であり,レアメタルの 1つとしても知られている.各種プラスチック・ゴムなどの難燃助剤として,OA機器や家電,自動車など,数多くの身近な製品に利用されているほか,ポリエステルの重合触媒,ガラス清澄剤など,幅広い産業分野で用いられている.一方で,急性・慢性毒性を有する有害物質であることから,WHO(世界保健機関)の飲料水質ガイドラインで基準値(0.01r L-1)が定められており,わが国でも水質環境基準の要監視項目として指針値(0.2rL-1)が示されている.環境省が実施している「化学物質の環境リスク初期評価」において,Sbは詳細な評価を行う候補に位置付けられ,環境中への排出は水域が最も多いと指摘されていることから,将来的に環境基準・排水基準に追加される可能性もある.また,世界最大のSb産出国である中国では,鉱山や製錬所周辺の土壌や河 川・湖沼の底泥より高濃度で検出される1)など, Sbによる環境汚染も大きな問題となりつつある. さらに,北極圏やヒマラヤ氷床コア中のSb濃度が1970年代頃から急上昇しており2,3),近年の人為利用によって,Sbが地球規模で拡散しているという指摘もある.現在,産業活動に伴って生じ たSb廃水は,凝集沈殿法や吸着法などの物理化学的手法により処理されているが,概して高コストであり,またSbに対する特異性も低い.特に Sbのほとんどを輸入に頼っている我が国では,低コストかつレアメタル資源として回収可能な廃水処理技術の開発が,重要な課題であると言える.
本稿では,溶存態のアンチモン酸[Sb(V)]を 呼吸基質として還元し,三酸化アンチモン(Sb2O3)を生成するSb呼吸細菌について,著者らの研究を紹介するとともに,廃水処理・資源回収技術への展望を概説する.
キーワード:アンチモン呼吸細菌,三酸化アンチモン,廃水処理,レアメタル資源回収
特集タイトル 環境・資源保全に資するメタルバイオテクノロジー
特集のねらい