書 評

「計算問題がわかる下水道工学入門」
                            嘉納政修/著
                         環境技術研究協会刊
                               (\1,500+税)

 本書は、書名のとおり、計算問題がよくわかる本です。すなわち、大学・高専の初心者を相手に“わかりやすく”をもっとうに書かれています。まず、冒頭に出てくる下水道基本計画の立案方法など、随所に出てくる具体的な計算事例は、机上の計算でなく、実際のデータを用いて行われているので、わかりやすく、初心者でも直ちに応用が利きます。ただ、ここまで詳しく勉強しようとする対象者は、一般的な昔流でいう工学部土木工学科の学生というよりも、下水道をある程度専門に勉強することを目指している高専あるいは大学院修士向きと言えるでしょう。では、その内容を紹介しましょう。
  第1章「序論」では、下水道の効果、定義、、種類について、基礎的なことが簡明に説明されています。
  第2章「下水道基本計画」は、その立案のための人口などの諸統計量の収集の仕方、計画汚水量の推計方法などの計算方法などが、事例を交えてわかりやすく説明されています。

  第3章「確率降雨強度及び降雨強度式」は、もっとも難しい降雨の確率分布から求められる降雨強度などを説明しています。2章、3章では、下水道を学びながら、おのずと統計計算手法も理解できるようになっています。

  第4章「下水管渠の設計」では、上記の計算で求めた雨量や先の計画汚水量を受け入れることが出来る管渠の径を求める方法をわかりやすく、事例を交えて計算方法を説明しています。

  第5章「下水管路及びポンプ場施設」では、上記で径が設計され、その管の種類やそれをポンプ場と共にどのように配置設計するか、説明しています。

  第6章「下水水質」では
、査読者のある程度守備範囲と思われる下水の水質を説明している。このようにわかりやすく説明すればよいのか、と感じた次第です。

 第7章「下水処理」では、本章でもやはり具体的な計算事例を交えながら、処理場の設計方法をこれまたわかりやすく説明しています。

 第8章「汚泥処理・処分」では、上記で発生する汚泥の処理・処分方法を説明しています。
 以上のように、下水道を専門的に学ぼうとする初心者には、まったくうってつけの書物と言えます。さらに、現在ある程度下水道を専門とする業務に就いている人たちにも改めて、自己点検する、あるいは勉強し直す良い機会を与えてくれるでしょう。とくに、計算事例が、具体的でわかりやすく、初心者にも直ちに応用が効く点は、査読者が本誌読者に推薦する最大のポイントと言えます。

                                       (大阪人間科学大学 福永 勲)